最高裁判所第二小法廷 昭和54年(行ツ)133号 判決 1980年2月29日
青森市大字野内字浦島一一〇番地
上告人
山田林業株式会社
右代表者代表取締役
山田重一
青森市本町一丁目六番五号
被上告人
青森税務署長
村岡景隆
右指定代理人
三井憲一
右当事者間の仙台高等裁判所昭和五三年(行コ)第八号処分取消請求事件について、同裁判所が昭和五四年五月二八日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申告があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、本件土地の譲渡が租税特別措置法六五条の七第一項の表の三号上欄に掲げる資産を譲渡した場合に該当しないとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。右違法があることを前提とする所論違憲の主張は、前提を欠く。論旨は、採用することができない。
よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 木下忠良 裁判官 栗本一夫 裁判官 塚本重頼 裁判官 鹽野宜慶)
(昭和五四年(行ツ)第一三三号 上告人 山田林業株式会社)
上告人の上告理由
上告人の法律上の主張は本件番一審判決および原判決摘示のとおりである。よって原判決は法令(租税特別措置法第六五条の七第一項第三号および憲法第二五条)の解釈を誤ったものであるから破棄されるべきである。
なお、さらに理由を詳論すれば次のとおりである。
(一) 二審の陳述の如く騒音公害の発生を除去すべく、青森市大字原別字上海原一七一番地の土地上にある製材工場を移転するからには貯木場たる本件土地は目的を失う。
即ち貯木場は製材所にとって不可欠であり、両者は主従の関係にある一物である。騒音規制地域内にある主たる事業所の移転は同地域外にある従たる貯木場の必要性とその利用性を失う。
(二) 租税特別処置法第六五条は上告人の如く公害問題に対処し、世論に協力する中小零細企業を救済する条文がなく、同法の主旨は生かされていない。
(三) 憲法第二五条に反する。租税特別処置法第六五条は公害を除去すべく、行政は側面より企業に援助するというのが立法の主旨とうかゞわれる。それが一部だけにしか(主たる事業所)適用されないのは憲法違反である。
(四) 以上により本件の如く公害移転による場合のみと例外を設定し、又は同法を拡大解釈すべきである。
以上